令和7年10月8日(水)に「子どもを支える大人の力~見守りと気づきの大切さ~」と題して、フランス在住の安發明子氏(フランス子ども家庭福祉研究者)とオンラインで会場を繋ぎ三者合同研修会を開催しました。

安發氏は鹿児島出身で、娘を日仏両方の小学校に通わせた経験から、「フランスが優れている」「日本が遅れている」という単純な比較ではなく、それぞれの国が“子どもを幸せに育てるための工夫”をしているという自己紹介からスタートしました。
日本の小学校は「褒める文化(花丸、肯定的な声かけ)」「地域とのつながり(給食、農業体験など)」が魅力的で、娘自身も「日本の学校が好き」と感じているそうです。
一方、フランス教育の大きな特徴は子どもに「自分で考え、解決する力」を育てているようで、3歳から義務教育というのも驚きでしたが、知識の詰め込みではなく心理的・社会的能力が重視されているそうです。
教室はグループ学習が基本で、先生は「教える人」ではなく「学びを支える人」で、間違いを恐れず、意見が違っても対話できる力を育てていて、毎日のテストや課題で自己管理を求められ、遅れれば放課後に校長が直接支援するなど、子どもが「自分の人生は自分で考えるもの」と自然に学んでいるようです。
なるほど!と思ったのが、日本とフランスの「不調の現れ方」の違いです。
フランスは不満や不調が外に出るそうですが(問題行動として見える)日本は不調が内に向かうということでした(不登校・引きこもり・自傷など)。そのため日本では「気づいた時には深刻化している」ケースが多く、早期に気づき、つながる仕組みが重要ではないかということでした。日本では若年層の自殺が増えており、この「不調の現れ方」も要因の一つなのではないかと感じたところでした。
学校は「子どもを支える最初の砦」で、フランスではクラス人数が少なく、スクールカウンセラーは国家公務員だそうです。
学校が子どもと家庭の変化に早く気づき、支援につなぐ義務があり、不登校は原則認められず、「なぜ学校に来られないのか」を学校が責任を持って解決されるとのこと。フランスの教育理念の核は教育とはその人らしさが開花し人権と自由が守られることということで学費は大学まで無償、やり直しが何度でも可能、ということは親も子も過度なプレッシャーを感じにくく、できなかったのは努力不足ではなく、その子に合った環境が用意されていたかが問われているとのことでした。
日本では家庭環境の違いが子どもの進学にも影響があり、教育と福祉の連携もフランスとは大きく差があるように感じました。
子どもは守るべき花ではない、ともすべき火である。

スライドの1枚目に記載されている言葉です。
子どもが困らないように先回りするのではなく、「自分で解決できる」という感覚を育てるために、安心できる人間関係を築き、たくさんのポジティブな経験をして、周りに頼れる大人が複数いることが大切、たった一人の大人が、人生を変えることもあるとのこと。
研究・実践から分かっていることは困難な背景があっても「意味のある他者」との出会いがあれば、子どもは回復し成長できます。ただし、子どもは「一度しか助けを求めない」こともあるので、話を聞く・つなぐ・解決まで見届けることが、大人の責任ということでした。そして、愛は「気持ち」ではなく「証拠」で親は子どもを愛していても、子どもが「愛されている」と感じられなければ意味がないそうです。
謝る・話を聞く・一緒に時間を過ごすという具体的な行動=愛の証拠を積み重ねることが大切ということでした。ここでも子ども側の視点が大切であるということを感じました。
最後に
社会は「前例」を作ることで変えられます。制度や文化は一人ひとりが声を上げ、行動することで前例が生まれ、社会は動くのです。子どもが幸せに育てば、社会全体が良くなるので諦めずに望む社会に近づけ続けましょう!!
と力強いメッセージをいただきました。
これからの日々の活動の中で、一人でも多くの子どもに寄り添い、安心できる存在になれるよう努力していきたいと思います。
※安發氏の著書『NO!といえるようになるための絵本』『一人ひとりに届ける福祉が支えるフランスの子どもの育ちと家族』をPTA活動の参考までに是非ご覧ください。
